法人破産には、経営者や企業に対して検討すべきメリットとデメリットが存在します。
法人破産のメリット
1.債権者からの取り立てストップ
会社が資金難に陥ると、債権者からの支払い要求が増え、経営者の負担が増大します。弁護士による法人破産手続きによって、債権者の取り立てがストップし、経営者は負担を軽減できます。
2.債務の免除
法人破産の最大の利点は、債務を全額免除できる点です。これにより、会社の負債が完全に消滅し、再出発の基盤が築かれます。
3.新たなスタート
法人破産を通じて会社は消滅しますが、債務も消えます。これにより、新しいビジョンで再出発するチャンスが生まれます。新しい事業を始めるか、他の企業で活躍するか、選択肢は広がります。
法人破産のデメリット
法人破産には、一方でいくつかのデメリットも存在します。
1. 事業の廃止
法人破産を選択すると、ほとんどの場合、法人や会社の事業は廃止されます。特別な例外を除いて、法人破産の結果として企業の消滅がもたらされるため、これによって事業の持続が難しくなることがあります。
2. 財産の処分
法人破産により、法人や会社の持っていた財産や資産はすべて破産管財人によって処分されます。これにより、企業の有形・無形の財産は失われ、法人破産による経済的な影響が深刻化します。
3. 従業員の解雇
法人破産に伴い、企業は事業活動を停止し、従業員を全員解雇する必要があります。これは、経営者や従業員にとって心苦しい決断であり、多くの人々に影響を及ぼすデメリットです。
4. 信用の喪失
法人破産によって、代表者や役員が経済的な信用を失う可能性があります。信用を失った経営者は、新たなビジネスを始める際に資金調達の障害となることがあります。また、事業が途中で放棄されることで、従業員や顧客、取引先からの信用も失われる可能性があります。
5. 法的責任
法人・会社と代表者・役員は法的に別の存在です。そのため、法人破産・会社破産したからといって、その法人・会社の代表者や役員等が、当然に、法人・会社の債務を引き受けすることにはならず、代表者などが個人で負債の支払いをすることにはなりません。しかし、代表者や役員が法人破産に関連した責任を負う場合があります。特に保証人や連帯保証人、連帯債務者である場合、個人の資産を使って負債を支払わなければならない可能性があります。また、代表者や役員が、法人・会社の財産を自己名義に変えていたような場合や不法行為が成立する場合など、破産管財人から損害賠償責任の追求や否認権を行使されることがあり得ます。
6. 手続きの複雑さと費用
法人破産手続きは、個人の破産手続きよりも複雑で厳格です。手続きの期間も長期に及ぶことがあり、それに伴う費用も高額です。これにより、法人破産手続き自体が経済的な負担となる可能性があります。