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破産制度

第23回破産コラム 破産の基本用語、破産財団とは何か解説

普段の生活の中で、破産を何度も経験するということは非常に稀であり、破産の手続きに関する用語も耳慣れないものが少なくありません。今回のコラムでは、破産手続きを理解する上で重要となる用語、『破産財団』とは何かについて解説したいと思います。

破産財団とは

法律上の定義

破産財団とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続きにおいて破産管財人にその管理および処分をする権利が専属するもののことをいいます(破産法第2条第14項)。

簡単に言うと、破産手続きにおいて、債権者への配当の原資となる、破産者の財産の集合体、それが破産財団ということになります。

破産手続きの基本から破産財団を解説

法律上の定義だけ見ても、ピンとこない方も少なくないと思いますので、以下、破産手続きの意味するところから破産財団とは何かを説明します。

そもそも、破産手続きは、「破産者がどのくらい財産をもっているのか」、そして、「債権者はどのくらいいて」、「各債権者はどのくらい債権を有するのか」をはっきりさせた上で、破産者の財産を債権者に公平に分配する手続きになります。

破産手続きを破産者自身に遂行させると、財産を隠してしまったり、お世話になったお得意様を優先してしまうなど、不公平な分配がなされてしまう危険性があります。

そこで、破産手続きを破産者に代わって遂行する人が必要になり、それが破産管財人と呼ばれる人になります。破産管財人は裁判所に選任されるため、公平中立の立場の者が選任されます。多くの場合、法律の専門家である弁護士が選任されます。

破産管財人が選任されると、破産者に属していた財産を管理したり、処分したりする権限は、すべて破産管財人に委ねられることになります。逆に言うと、破産手続きが開始すると、破産者自身は、自分の財産に対する管理・処分権限を失います。このことを、破産者の財産に対する管理処分権限が破産管財人に「専属する」と表現しています。

まとめると、破産財団とは、 破産者に属する財産の集合体であり、破産手続きの公平性を確保するために、破産管財人だけが管理処分権を有するものということになります。

なお、「財団」という言葉から、組織や団体をイメージする方も少なくないと思いますが、「財団」=「財産の集合体」とイメージするとわかりやすいかと思います。

破産財団の範囲

破産財団には、具体的にどのような財産が含まれるのでしょうか、その範囲を確認してみたいと思います。

破産法第34条第1項では、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかは問わない。)は、破産財団とする。」とされています。

つまり、破産手続き開始時に破産者に属していた財産は、日本国内にあろうが海外にあろうが、全て破産財団に含まれます。

また、財産的価値があり、債権者への配当の原資となるものは、すべて破産財団を構成します。不動産や動産のような有体物以外にも、債権や知的財産権などの権利や、商権やのれん、ノウハウ等も含まれます。

破産財団に含まれないもの

個人の破産手続きでは、破産財団を構成しない財産が存在します。破産財団を構成しないということは、破産管財人に管理処分権が専属しないので、破産者自身が自由に管理処分できることになります。そのため、破産財産を構成しない財産を自由財産と言います。

自由財産には、破産手続開始後に破産者が取得した財産(新得財産)や差押禁止財産などがあります。また、財産的価値を想定しづらい、身分権や一身専属性のある財産も自由財産となります。

なお、法人破産の場合には、個人の破産の場合とは異なり、破産後の生活保障等を考慮する必要がないため、基本的には、破産者の財産はすべて破産財団を構成します。

おわりに

今回のコラムでは、破産手続きを理解する上で重要となる用語、『破産財団』とは何かについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

破産という決断は決して容易ではないため、その検討をする際には、情報収集を念入りに行う方が多くいらっしゃいます。しかし、破産という手続き自体、一般の方には馴染みが薄く、また、「破産管財人」や「破産財団」等の耳慣れない難解な用語が登場するため、戸惑う方も少なくありません。本コラムが、そのような方の一助となれば幸いです。

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