別除権とは何か? – 破産手続きにおける担保権者の特別な権利
「別除権」という言葉、聞き慣れない方も多いかもしれませんが、破産手続きにおいては非常に重要な概念です。別除権とは、簡単に言うと、担保を持っている債権者が、その担保から優先的に債権を回収できる特別な権利のことを指します。また、別除権は、破産手続きによらずに、直接債権を回収することができるのが特徴となります。
具体的には、ある資産に担保が設定されている場合、その担保権を持つ債権者は、他の債権者よりも優先的にその資産から債権を回収できます。例えば、会社が不動産や機械を担保にして融資を受けた場合、その不動産や機械が売却された場合、担保権者は他の債権者よりも先にその売却代金から債権を回収することもできます。
また、債務者につき破産手続きが開始されていたとしても、その破産手続きとは無関係に、担保権を実行して、債権を回収することができます。
破産手続きでは、債務者の資産を換価して債権者に公平に分配することが目的となりますが、担保付き資産には別除権が認められ、担保権者はその資産に対して優先権を持つ格好になります。
別除権の対象になりやすい資産例
不動産(事務所や工場など)
多くの企業が、事業用の不動産を担保に融資を受けることがあります。この場合、その不動産が別除権の対象となり、担保権者は、直接担保権を実行し、その不動産を換価して債権を回収することが可能です。
機械設備や車両
事業に使用している機械設備や車両が担保に供されていることがあります。これらの機械設備や車両についても担保権が設定されている場合には、別除権の対象となり、担保権者が優先的に債権を回収することができます。
破産手続きにおける別除権の現実
破産手続きでは、担保権者の別除権が行使されることになりますが、実際にどのような流れで行われるのでしょうか?
基本的に、担保付きの資産は破産手続きとは無関係に売却(換価)され、担保権者の債権回収に充てられることになります。例えば、事務所用の不動産が担保として設定されている場合、その不動産が直接競売にかけられ、売却代金から担保権者が債権を回収します。
一方で、他の債権者(担保権がない一般債権者)は、残った資産、すなわち担保に供されていない遺産から配当を受けることになります。
なお、担保権者が別除権を行使しても、債権を全額回収できなかった場合には、その未回収分については、一般債権者として、破産財団から配当を受けることになります。
破産手続き vs 会社更生手続き 別除権の扱いの違い
破産手続きの目的は、債務者の資産を換価して清算することにあります。もちろん、清算の際には、各債権者は債権額に応じて公平に取り扱われますが、担保権者は担保に供された資産に対しては優先権を有するため、担保権者は別除権により優先的に債権を回収できます。
つまり、破産手続きでは、担保権者の権利を尊重しつつ、一般債権者に公平な分配を行い、清算していきます。
それに対して、会社更生手続きでは、別除権の扱いが異なります。
会社更生手続きの主な目的は、企業の再建です。企業が破産することなく、事業を継続できるように再建計画を立て、その計画に基づいて債務整理が進められます。事業再建に必要な重要な資産が担保権の実行により売却されてしまっては、事業の継続が困難となってしまうため、別除権は制限されることが多く、担保権者は会社更生手続き外で債権を回収することができなくなります。
おわりに
別除権は、破産手続きにおける重要な概念であり、担保権者が自らの債権を回収するための権利を保障するものです。破産と会社更生の手続きでは、別除権の取り扱いに大きな差異がありますが、それは両手続きの目指すところが異なるためです。
会社の破産・会社更生手続き等を検討される場合には、早期の法的アドバイスと戦略的な対応が重要となります。会社の破産・再生手続きに詳しい弁護士に早期に相談することをオススメします。
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