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破産制度

第11回破産コラム 法人・会社破産の際の解雇通知のタイミング

前回のコラム「法人・会社が破産すると従業員はどうなるのか解説」で解説したように、会社が破産する際には、従業員はどこかの段階で必ず全員解雇することになりますが、解雇通知を行う際には、細心の注意を払い、適切なタイミングで行うことが重要となります。今回のコラムでは、法人・会社破産の際の解雇通知はどのタイミングで行うべきか解雇通知のタイミングについて解説したいと思います。

法人・会社の破産と従業員の解雇

破産手続きによって、会社は最終的に法人格が消滅し、会社自体がなくなるため、遅かれ早かれ従業員は全員解雇せざるえません。

平時に従業員を解雇する場合には、労働基準法等の規制により、安易に解雇権を行使することは制限されることになりますが、破産による解雇や破産申し立ての準備として従業員を解雇する場合には、解雇権濫用にあたることはほぼ皆無なため、その意味では、任意のタイミングで従業員を解雇することが可能です。

ただ、法的には任意のタイミングで従業員の解雇が可能であったとしても、解雇通知の時期を誤ると、会社が破産するとの情報が外部に漏れ、無用な取り付け騒ぎを誘発したり、営業中の会社であれば、破産申立て期日までの業務に大きな支障が生じる危険性もあります。

解雇通知のタイミングを決めるポイント

給与、賃金債権抑制と混乱防止・円滑な破産申立て準備

従業員を早めに解雇すると、その分会社が支払うべき給与、賃金債権は減少し、また、破産手続きの中で財団債権として扱われ、優先配当されるべき債権が減少するため、一般債権への引き当て金は多くなることになります。また、労働基準法上、従業員を解雇する場合には、30日以上前に解雇予告を通知する必要があり、30日以上前までに解雇予告をせずに解雇する場合には、その分解雇予告手当てを支払う義務が生じます。

しかし、解雇予告を早い段階で通知したり、従業員の整理を早めてしまうと、外部に会社が破産する予定という情報が漏れる危険性が非常に高く、通常の業務に支障が生じるだけでなく、破産申立ての準備に支障が生じるおそれがあります。

給与、賃金債権を抑制することのみを考えると、解雇通知は早い方が良いということになりますが、無用の混乱を防ぎ、破産申立ての準備を円滑に進めるという観点からは、解雇通知はなるべく遅くする方が良いということになります。

破産・倒産の直前に従業員に解雇通知

解雇通知のタイミングを決める際には、会社の財務状況、会社の営業状況、従業員数等、様々な要素から総合的に判断することにはなりますが、破産・倒産という決断をしている状況では、最も優先すべきは円滑に破産手続きを進行させることにあるため、事実上、破産・倒産の直前に従業員に解雇通知することが一般化していると言えます。

破産申立てに必要な人材について

法人・会社の規模によっては、破産申立ての準備等を経営者だけで行うことが難しいケースもあり、そのような場合には、一部の従業員の協力が必要とされます。

例えば、債権や売掛金の調査・回収、解雇する従業員の離職に伴う事務処理、破産申立てに必要となる各種目録や帳簿作成等をすべて経営者だけで行うのは難しいという場合には、それらの事情に精通し、会社の状況を把握している従業員に協力してもらうことになります。

協力者となってもらう従業員には、他の従業員とは異なり、早い段階で破産の予定を伝えることになるため、信頼のできる従業員を選定すること、十分な理解を得ておくこと、徹底した情報管理が重要となります。

協力者となる従業員については、破産申立て後も、アルバイト等として、破産管財業務の協力を依頼するケースもあります。

おわりに

今回のコラムでは、法人・会社破産の際の解雇通知はどのタイミングで行うべきか解雇通知のタイミングについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。法人・会社の破産手続きを行う際には、緻密な計画なもとに、会社の状況等に合わせた適切なタイミングで解雇通知を行う必要があるため、破産を検討する際には、専門の弁護士に相談することをおすすめします。

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