前回のコラムでは、再建型の倒産手続きの基本、民事再生について解説しました。今回のコラムでは、再建型の倒産手続きのひとつ会社更生について、その概略を解説したいと思います。
再建型の倒産手続き
経済的に行き詰った会社の倒産処理として、大きく分けると清算型と倒産型の手続きがあります。会社更生は、民事再生と同じく再建型の倒産手続きに分類されます。
再建型の手続きでは、債務者である会社の事業を再建し、再建された事業から生じる収益を原資として債権者に弁済していくことになります。再建型の手続きでは、事業から生じる収益が原資となるため、清算型とは異なり、会社が基本的にはそのまま存続することになります。
なお、会社更生は、破産や民事再生同様、裁判所で行われる法的手続きになります。根拠法は会社更生法という法律になります。
会社更生とは
会社更生とは、経済的に行き詰った株式会社について、裁判所の選任した更生管財人の主導の下、会社債権者等の利害関係者の多数の同意の下に更生計画を策定し、これを遂行することにより、利害関係者の利害を適切に調整しつつ会社の事業の再建を図る手続きになります。
株式会社がその対象
民事再生は、個人でも法人でも利用可能ですが、会社更生手続きは、株式会社のみをその対象としており、他の持分会社や一般社団法人等は利用できません。また、会社更生には、強力な効力を有する手続き等が備わっている反面、手続きが厳格で複雑であり、その費用も相当高額(最低でも数千万円、規模が大きくなると数億円)であるため、基本的には大企業向けの手続きとなっています。
更正管財人が主導する
会社更生手続きが開始されると更正管財人と呼ばれる者が裁判所によって選任されます。更正管財人が選任されると、会社の経営や財産の管理は、この更正管財人が行うことになりますので、現経営陣は退陣することになるのが原則になります。
民事再生の場合には、現経営陣がそのまま続投することも可能なため、現経営陣の続投を望む場合には、会社更正は不向きになります。その意味でも、会社更生は、同族経営等が主流の中小規模の企業ではなく、大企業向けの手続きと言えます。
更生計画の策定
更正手続きを進めるにあたっては、更生計画を策定し、その更正計画を遂行することなりますが、更生計画については債権者等の利害関係人の同意を得る必要があります。例えば、更正債権を変更する場合には、行使可能な議決権の2分の1超を有する更生債権者の賛成が必要であったり、株主の権利を変更する場合には、行使可能な議決権の過半数を有する株主の賛成が必要です。
なお、会社更生では、担保権者も更正担保権者として扱われ、更正手続きによって担保権の行使が制限されます。すなわち、更正手続きが開始されると実行中の競売は停止されますし、更正担保権も更正計画で減免の対象となります。ただ、もちろん更正担保権の変更には、一定以上の更正担保権者の賛成が必要になります。担保権の行使が制限されるのが民事再生と大きく異なります。
更生計画の遂行
更生計画認可が決定すると、更生計画に従って債権や株主の権利大きく変更されます。そして、その後は、決定した更生計画に従い、管財人主導の下に会社再建を図ることになります。
おわりに
今回のコラムでは、再建型の倒産手続きのひとつ会社更生について、その概略を解説しましたが、いかがだったでしょうか。会社更生手続きは、基本的には大企業向けの手続きであり、規模が大きく、複雑であるため、事実上、弁護士への依頼が必須となります。また、再建型の手続きを検討する際には、会社更生も民事再生もそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらの手続きを選択すべきか、まずは専門の弁護士に相談することをおすすめします。
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