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破産制度

第9回破産コラム 法人破産すると掲載される官報とは何か 掲載内容も解説

コロナ融資の返済等により、会社の資金繰りが悪化し、経営状況の改善が見込めない場合には、法人の破産等も視野に入れて検討しなければなりません。しかし、破産手続きを行うと、その事実は『官報』に掲載されるため、そのことを気にされる経営者の方も少なくありません。今回のコラムでは、法人破産すると掲載される官報とは何か、官報には何が掲載されるのか解説したいと思います。

官報とは何か

官報とは、いわば日刊の政府の機関紙とも言うべきもので、国の法令や公示事項を掲載し、国民に周知するための国の公報として、重要な役割を果たしています。

官報の掲載事項には、制定された法令、官庁報告、国民の叙勲など、様々なものがありますが、その中には「裁判所事項」という項目があり、破産や会社更生に関する情報も掲載されます。

官報を読む方法

官報を読む方法には紙媒体で読む方法とインターネットで読む方法の2通りの方法があります。

紙媒体で官報を利用する場合、発行当日の官報は、国立印刷局と各都道府県にある「官報販売所」に掲示されるので、そこで読むことができます。また、官報販売所に有料での購読を申し込むこともできます。

インターネットを利用する場合、国立印刷局の「インターネット版官報」というwebサイトを利用することで官報を読むことができます。有料で過去の記事を検索することも可能ですが、直近90日分の記事については無料で読むことが可能です。

破産手続き開始決定と官報公告

破産手続きが開始されると、法律で定められた事項とともに、その事実が官報に掲載されます。

破産の事実を官報で掲載する理由は、債権者や利害関係人に広くその事実を周知することで、手続に参加する機会を確保するためです。

破産手続きが開始されると、最終的に破産者の資産はお金に換えられ、換価した金銭から債権者に配当がなされるため、その配当手続きに参加する機会を確保するために、官報公告がなされるというわけです。

破産法第32条1項
裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。

破産法 | e-Gov法令検索

官報に掲載される事項

法人破産の場合、官報には次の事項が掲載されます。

会社名
会社の所在地
代表者の氏名

官報には代表者の住所は掲載されませんが、会社の商業登記簿には代表者の住所が記載されているので、そこから追跡・調査される可能性はあります。また、金融機関等から借入の際に、代表者個人が連帯保証人となっているようなケースでは、法人破産と同時に代表者個人の破産も行うことが一般的なため、その場合には、個人の破産の官報公告として、代表者個人の氏名・住所が掲載されます。

官報から破産の事実が知られてしまうのか

「官報に載るということは、まわりに破産のことが知られてしまうのでは」と懸念される方が少なくありません。

上で、解説したように、官報には紙媒体の他にインターネットでも読むことができますので、調べようと思えば、誰でも破産情報を調べることが可能であり、その意味では、官報から破産の事実が知られてしまう可能性を否定することはできません。

ただし、実際には、官報を普段から読んでいるという方は非常に稀であり、金融機関に勤めている方等を除き、一般の方が官報から破産の事実を知るということは、ほとんどありません。

おわりに

今回のコラムでは、法人破産すると掲載される官報とは何か、官報には何が掲載されるのか解説しましたが、いかがだったでしょうか。官報は、広く国民に情報を周知することを目的としているため、官報から破産の事実が周りに知れ渡る可能性は否定できませんが、官報を日々読んでいるという方はほとんどいないため、必要以上に気にすることはありません。「破産」という言葉自体にネガティブなイメージもあり、知識不足から不安に思う方も少なくありませんが、破産は債務をゼロにし、再スタートを可能にする手続きでもあるので、先入観等から破産という選択肢を否定せずに、冷静に客観的な視点から自身の会社に必要な措置を検討することが大切となります。

当事務所は、法人破産や個人事業主の方の破産案件に注力しております。資金繰り、コロナ融資の返済等でお悩みの方は、札幌でトップクラスの実績がある当法律事務所まで、お気軽にご相談下さい。初回相談は無料で、また相談時間に制限がないので、皆様のお悩みに専門の弁護士が、真摯にご対応いたします。

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