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破産制度

第22回破産コラム 民事再生と会社更生の違いについて解説

経済的に行き詰った会社が取りうる法的な手段として、破産や特別清算のような清算型の手続き以外にも、民事再生、会社更生といった再建型の手続きがあります。民事再生や会社更生といった言葉は知っているものの、その違いについては「よく分からない」という方も少なくありません。今回のコラムでは、民事再生と会社更生の違いについて解説したいと思います。

民事再生と会社更生の共通点

再建型の倒産手続き

経済的に行き詰った会社の倒産処理として、大きく分けると清算型と再建型の手続きがあります。民事再生も会社更生も再建型の倒産手続きに分類されます。

再建型の手続きでは、債務者である会社の事業を再建し、再建された事業から生じる収益を原資として債権者に債務を弁済することになります。再建型の手続きでは、事業から生じる収益が原資となるため、清算型とは異なり、会社がそのまま存続することになります。

なお、清算型の手続は、債務者である会社の資産を処分・換価し、債権者に分配する手続きになりますので、清算型の手続きを選択した会社は、その手続きによって最終的には会社は消滅することになります。

法的整理

民事再生には民事再生法という根拠法があり、会社更生には会社更生法という根拠法があります。両者ともに、法律に基づいて、裁判所関与の下に進められる法的な手続きという点で共通しています。

債務者と債権者が直接交渉する「純粋な私的整理」や事業再生ADRのような「準則型私的整理」は、根拠法があるわけではなく、裁判所の関与もないため、私的整理と呼ばれます。

民事再生と会社更生の相違点

民事再生も会社更生も法律に基づき裁判所の関与の下に進められる法的整理であり、両者とも再建型の倒産手続きという点で共通しています。

では、両者の違いはどこにあるのでしょうか。

利用可能な主体

民事再生は、個人でも法人でも、法律に定められた要件さえ満たせば誰でも利用可能です。

しかし、会社更生は、株式会社のみをその対象としているため、個人はもちろん、合同会社等の持分会社や社団法人等は利用することができません。

また、会社更生には、強力な効力を有する手続き等が備わっている反面、手続きが厳格で複雑であり、その費用も相当高額(最低でも数千万円、規模が大きくなると数億円)になるのが普通となるため、事実上、株式会社の中でも大企業向けの手続きとなっています。

再建手続きを進める者

民事再生も会社更生も、会社の事業を再建し、再建された事業から生じる収益を原資として債権者に債務を弁済するため、実際に再建を進める者が必要となります。

民事再生の手続では、その主導・監督を行う者は裁判所によって選任された監督委員でありますが、実際に、会社の経営を進め、再建していくのは債務者である会社です。そのため、民事再生では、現経営陣がそのまま続投することが可能です。

現経営陣が退陣することなく続投することで、経営への影響を最低限に留めることが可能なため、同族経営などが主流な中小規模の企業によく選択される傾向にあります。

それに対して、会社更生手続きでは、更正管財人と呼ばれる者が裁判所によって選任され、会社の経営や財産の管理は、この更正管財人が行うことになります。ですので、会社更生では、現経営陣は退陣することになるのが基本になります。

会社更生では、現経営陣の退陣という非常に大きな決断が必要にはなりますが、その反面、裁判所に選任された更生管財人が、法律上与えられた強力な権限の下、大胆な意思決定を行い、再建を押し進めることができます。

担保権の扱い

企業が借入をする際に、事業用の資産や不動産等に担保権の設定を求められるケースがあります。

民事再生では、担保権者には「別除権」という特別な権利が認められているため、原則として、担保権の実行を止めることはできません。

それに対して、会社更生では、担保権の付着した債権も「更生担保権」として整理の対象に含まれるため、担保権の実行は禁止されます。

民事再生では、事業継続に必要な会社資産が担保に供されている場合、担保権の実行により散逸してしまい、再建が事実上不可能になってしまうおそれがあります。担保権の実行を止めるためには、別除権について別除権協定を締結したり、「担保権実行手続中止命令」や「担保権消滅請求」などの措置を講じる必要があります。なお、協定には、別除権者の合意を得る必要がありますし、「担保権実行手続中止命令」や「担保権消滅請求」には裁判所の許可が必要になります。

株主の権利

民事再生では、株主の権利が変更されることはありません。

それに対して、会社更生では、更生計画の中で株主の権利の変更に関する事項を定めなければならないとされており、また、多くのケースで、減資が行われるため、株式の価値は大幅に減少するか、無価値になる可能性があります。

おわりに

今回のコラムでは、民事再生と会社更生の違いについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。民事再生も会社更生も裁判所関与の下に進められる法的整理であり、再建型の倒産処理という点で共通しています。しかし、両者には異なる点も多く、それぞれメリット・デメリットが存在します。自身の会社にどちらの手続きがふさわしいかお悩みの方は、法律的・専門的判断が要求されるため、民事再生・会社更生に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

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