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破産制度

第29回破産コラム 破産・再生の前に考えたい「事業縮小」 – 会社を守るための一手

「事業縮小」の相談が増えている背景

近年、破産や民事再生の相談と並んで、「事業を少し縮めたい」「全部は続けられないが、何とか会社は残したい」という相談が増えています。その背景には、経営者の努力だけでは吸収しきれない環境変化があります。

まず大きいのが、物価や原材料費の高騰です。仕入価格や外注費が上がっても、すぐに販売価格へ転嫁できる企業は多くありません。利益率がじわじわと削られ、売上はあるのに手元にお金が残らない、という状態に陥るケースが目立ちます。

加えて、人手不足の深刻化と、それに伴う人件費の上昇も無視できません。人が集まらないために採用コストが膨らみ、既存社員の待遇改善を迫られる。結果として固定費が増え、経営を圧迫していきます。こうした状況の中で、「このまま全事業を続けるのは厳しいが、すぐに破産という判断もしたくない」と考える経営者が増えているのです。

事業縮小とは何か|破産・撤退との違い

事業縮小とは、会社そのものをたたむことではありません。すべての事業をやめるのではなく、不採算部門を整理したり、規模を縮小したりすることで、会社全体を立て直そうとする判断です。

破産や廃業が「会社を清算して終わらせる選択」だとすれば、事業縮小は「会社を生かすために減らす選択」といえます。売上規模や事業領域を一時的に小さくすることで、資金繰りを安定させ、経営の持続可能性を高める狙いがあります。

ただ、「事業を縮小すれば必ず立て直せる」という保証があるわけではありません。だからこそ、感覚的な判断ではなく、冷静な見通しと法的な視点を踏まえた検討が重要になります。

事業縮小が検討される典型的なケース

事業縮小が現実的な選択肢となるのは、いくつか共通する状況があります。たとえば、複数の事業を展開しているものの、その中に明らかな不採算部門がある場合です。その部門が全体の足を引っ張り、利益を出している事業まで圧迫しているケースは少なくありません。

また、人件費や家賃などの固定費が高止まりし、売上の増減に関係なく資金が流出し続けている場合も、縮小の検討が必要になります。さらに、借入金の返済が重くなり、金融機関との関係に不安を感じ始めた段階も、一つの分岐点といえるでしょう。

これらのケースに共通するのは、「まだ事業は回っているが、このままではいずれ行き詰まる」という感覚です。この段階で手を打てるかどうかが、その後の選択肢を大きく左右します。

事業縮小に伴う主な法的問題

事業縮小は、単に事業規模を小さくすれば済む話ではありません。必ず法的な問題が伴います。特に大きいのが、従業員への対応です。配置転換や労働条件の変更、場合によっては退職勧奨や解雇を検討せざるを得ないこともあります。

これらは、進め方を誤ると労働紛争に発展するリスクがあります。また、事業所や店舗を閉鎖する場合には、賃貸借契約やリース契約の解約問題も生じます。中途解約に伴う違約金や原状回復費用が、想定以上の負担になることもあります。

さらに、取引先との契約関係にも影響が及びます。取引停止や契約解除が連鎖的に起こると、資金繰りが一気に悪化する可能性も否定できません。

事業縮小を誤ると破産リスクが高まる理由

「とにかく支出を減らそう」と場当たり的に事業縮小を進めてしまうと、かえって破産リスクが高まることがあります。たとえば、十分な検討をせずに人員整理を行い、現場が回らなくなるケースや、解約費用を見誤って資金繰りが一気に悪化するケースです。

また、金融機関への説明が不十分なまま縮小を進めると、信用不安を招き、追加融資が受けられなくなることもあります。事業縮小は、正しく進めれば会社を守る一手になりますが、誤れば「破産への助走」になりかねない点には注意が必要です。

事業縮小と事業再生・破産の関係

事業縮小は、それ自体がゴールではありません。縮小によって体力を回復し、その後の成長や安定経営につなげることもあれば、縮小を経たうえで事業再生や破産を選択するケースもあります。

重要なのは、事業縮小を「最後のあがき」にしないことです。早い段階で検討すれば、再生手続や私的整理など、より多くの選択肢が視野に入ります。逆に、限界まで先送りすると、破産しか選べない状況に追い込まれることもあります。

専門家に相談すべきタイミングとは

事業縮小を考え始めたときこそ、専門家に相談すべきタイミングです。数字に表れ始めた違和感や、漠然とした不安の段階で相談することで、打てる手は大きく広がります。

破産や再生は「最後の手段」と思われがちですが、そこに至る前の段階でこそ、法的視点が役に立つ場面は多くあります。会社を守るための選択として、事業縮小を冷静に検討することが、結果的に経営者自身を守ることにもつながるのです。

「まだ破産や再生を決めたわけではない」「事業縮小が正解か分からない」――そのような段階でも、早めの相談は決して無駄にはなりません。事業縮小の進め方次第で、会社を守れるか、選択肢を失ってしまうかが大きく変わります。当事務所では、破産・事業再生を専門に、数多くの経営判断をサポートしてきました。現状の整理だけでも構いません。まずは無料相談で、今後取り得る選択肢を一緒に確認してみませんか。

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