「会社整理を考えている」「会社整理の方法を知りたい」。近年、このよう相談が増えています。資金繰りの悪化や取引先への支払遅延、金融機関からの督促など、経営が行き詰まりを見せ始めたとき、多くの経営者がまず思い浮かべる言葉が「会社整理」なのかもしれません。
もっとも、ここで一つ注意すべき点があります。実は、現行法上、「会社整理」という名称の法的手続は存在しません。2005年の会社法施行以前、旧商法には「会社整理」という制度が設けられていましたが、現在は廃止されています。そのため「会社整理」について相談される場合、多くは破産や民事再生、特別清算などの法的手続、あるいは私的整理を含めた広い意味での“会社の整理”を指しているのが実情です。
今回のコラムでは、「会社整理」が広く法的整理・私的整理を含むことを前提に、「会社整理」にはどのような手続きがあるのか、その種類と特徴、そしてどのような視点で各手続きを選択すべきかをまとめたいと思います。
会社整理は「清算」か「再建」かで大きく分かれる
会社の整理を検討する場面では、まず「事業をたたむのか」「再建を目指すのか」という大きな方向性を定める必要があります。これは感情論ではなく、資金状況、収益力、債務総額、スポンサーの有無などを冷静に分析したうえで判断すべき問題です。
仮に、継続的な赤字が続き、債務超過も拡大し、事業自体の収益改善の見込みが乏しい場合には、清算型の手続が現実的な選択肢となります。他方、主力事業は黒字であるものの、一時的な資金ショートや不採算部門の影響で経営が悪化しているような場合には、再建型の手続を通じて立て直しを図る余地があります。
清算型の手続 ― 破産と特別清算
会社を畳む場合の代表的な法的手続が破産です。破産は、裁判所の監督のもとで破産管財人が選任され、会社の財産を換価し、債権者へ公平に配当する制度です。支払不能または債務超過の状態にある会社が対象となり、最終的には法人格が消滅します。
破産は「倒産」の典型的な形といえますが、その本質は無秩序な取り立てや偏頗弁済を防ぎ、債権者間の公平を確保する点にあります。代表者個人の責任問題や、従業員の未払賃金、取引先との契約関係なども整理されるため、混乱を最小限に抑えるという側面も持っています。
これに対し、特別清算は、すでに解散して清算手続に入っている株式会社が、債務超過であることが判明した場合などに利用される手続です。破産よりも手続が比較的簡素であることが多く、株主や主要債権者の協力が得られるケースで活用されます。ただし、実質的には裁判所の関与のもとで債務整理を行う点で、清算型手続の一種といえます。
再建型の手続 ― 民事再生と会社更生
一方、事業の再建を目指す場合には、民事再生や会社更生といった制度があります。
民事再生は、比較的利用しやすい再建型手続であり、中小企業でも多く活用されています。経営陣が原則としてそのまま残り、裁判所の監督のもとで再生計画を策定し、債務を減額・分割弁済することで事業の継続を図ります。スポンサーの支援を受けるスキームも一般的です。
会社更生は、より大規模な企業を想定した再建手続で、経営陣は原則退任し、更生管財人が経営を担います。担保権の扱いなども強く制約されるため、金融機関を含む利害関係人の調整が必要となります。社会的影響の大きい企業の再建に用いられることが多い制度です。
再建型手続に共通するのは、「事業価値をいかに維持・向上させるか」という視点です。単に借金を減らすだけでなく、事業構造の見直し、人員整理、不採算部門の切り離しなど、抜本的な経営改革が求められます。
私的整理という選択肢
裁判所を利用しない方法として、私的整理(任意整理)もあります。金融機関や主要債権者との協議により返済条件を変更してもらうなど、柔軟な対応が可能です。信用不安を最小限に抑えられるという利点がある一方で、全債権者の同意が得られなければ成立しないという難しさもあります。
経営者の中には「法的手続は最後の手段」と考える方も少なくありません。しかし、私的整理が可能な段階を見極めることが重要であり、判断を誤ると、結果的に破産しか選択肢が残らなくなることもあります。
手続選択で重要なのは「タイミング」
会社整理を検討する際、最も重要なのはタイミングです。資金が完全に枯渇してからでは、再建型手続の選択肢は著しく狭まります。逆に、早期に専門家へ相談することで、複数の選択肢を比較検討できる可能性が高まります。
実務上、経営者が相談に訪れる段階では、すでに数か月分の資金繰りしか見通せない状況であることも珍しくありません。しかし、財務状況の精査、事業価値の評価、スポンサー探索などには一定の時間が必要です。早期対応こそが、会社や従業員、取引先を守るための最善策といえるでしょう。
おわりに
冒頭で述べたとおり、「会社整理」という言葉は現行法上の正式な手続名ではありません。かつて旧商法に存在した制度はすでに廃止され、現在は破産、民事再生、会社更生、特別清算などの枠組みに整理されています。
それでもなお、この言葉が広く使われ続けているのは、「会社をどうにか整理しなければならない」という切迫した思いの表れでもあるでしょう。
重要なのは、言葉に引きずられるのではなく、自社の状況に即した最適な手続を選択することです。
・事業を残したいのか
・法人格を維持する必要があるのか
・代表者個人の責任はどうなるのか
・従業員や取引先への影響をどう最小化するか
これらを総合的に検討したうえで、清算か再建かを判断することになります。
「会社整理」とは、法的な名称というよりも、会社の債務や事業を整理するための総称的な言葉です。現行法上は、破産や特別清算といった清算型手続、民事再生や会社更生といった再建型手続、さらには私的整理など、複数の選択肢が用意されています。
どの手続が適切かは、会社の財務状況、事業の将来性、債権者構成などによって大きく異なります。そして何より、早期の判断と専門家への相談が、選択肢を広げる鍵となります。
会社の整理は「終わり」ではなく、経営上の一つの決断です。状況を正確に把握し、最も合理的な道を選ぶことが、次の一歩につながります。
「破産しかないのか」「再建できる可能性はあるのか」「代表者個人の責任はどうなるのか」。
会社整理という言葉が頭をよぎったとき、多くの経営者は強い不安を抱えています。しかし、実際には状況を正確に分析しない限り、選択肢は見えてきません。
当事務所では、財務状況や事業内容、債権者構成を丁寧に確認したうえで、破産・特別清算・民事再生・私的整理などの中から最適な方法をご提案します。会社整理でお悩みの方は、札幌でトップクラスの実績がある当法律事務所まで、お気軽にご相談下さい。初回相談は無料で、また相談時間に制限がないので、皆様のお悩みに専門の弁護士が、真摯にご対応いたします。